恋は小説よりも奇なり



そんなことを言えばどうなるか……


想像するだけでも身の毛がよだつ。

「ちょ、ちょっと大和さん――…」

樹が不安気に声を掛ける。

不機嫌MAXになった奏に耐性が出来ているのは担当の珠子と親友の大和だけだ。

常人に耐えられるものではない。

「大丈夫、大丈夫」

余裕そうに笑ってみせる大和。

全く笑えない二人は引きつった表情で恐る恐る奏の反応を確かめた。

「あぁ……」

全く変わらない気のない返事。

樹と満は驚愕(きょうがく)した。

あれだけ言われて不快感すらない。

普通の人でもムッとくらいする内容だったはず。

レストランに入っても昼食の注文さえしないわけだ。

「長い時は一週間くらいあんな感じだから。さすがにそうなると無理やりにでもメシ食わせるけどさ」

「い、一週間!?」

開いた口が塞がらないというのはこういう事を言うのだろう。