恋は小説よりも奇なり


アトラクションをおりてからも彼の手が止まることは無く、歩きながら文字を書いている有様だ。

満は横目で奏の顔を覗き見る。

いつ瞬きをしているんだろう……なんて普段なら考えもしないことをつい思ってしまう。

それぐらい表情に動きがないのだ。



昼時になり、園内にあるレストランで昼食をとることになっても奏の態度は一向に変わらなかった。

「ごはん食べる時ぐらいボールペンを離したらどうです?」

見かねた満が呆れた様子で注意する。

「あぁ……」とやる気のない返事が返ってくるだけで、ほぼ届いていない。

馬の耳に念仏。

「無駄だよ、満ちゃん。アイツには聞こえているようで全く届いていないから。……奏のアホ、堅物、俺様野郎、ムッツリスケベ」

大和の前に座る満と樹はその場で凍りついた。