恋は小説よりも奇なり


失礼だと感じつつも、彼がメリーゴーランドに乗ってキャッキャウフフしている光景を満はあまり見たいとは思えなかった。

「ほらみろ」

奏の勝ち誇った顔。

「……大体、普段からニコリともしないし、傲慢で高飛車で意地悪だからそういう表情が似合わなくなっちゃうんですよ」

「なんだと!?」

「なんですか!?」

公衆の面前にもかかわらず奏と満は言い合いを始める。

まるで子どものケンカだ。

メリーゴーランドを楽しんでいた子どもたちは、次々と乗り物から降りて両親や同行者が待つところへ戻っていく。


『お降りの際はお足元に十分ご注意下さい』


若い女性の声でアナウンスが繰り返される。

満は奏に向けて“べっ!”と舌を出し、アッカンベをされた本人はそんなもの丸無視で馬車から降りた。

そんな二人を見て、樹は密かに安心していた。