「よいしょっ重ッ」




この日はそのデビューの日。


あんなに嫌がっていたのに
今日は率先して早起きをする。


車に乗せて向かう先はいつもの湖。





「静哉いつもこれ1人で持ってたのー?」




なんて独り言を言う私の肩には
静哉が大切にしている大きなバッグ。


そう、私が始めたのは釣り。


1人で来たのは初めてだ。


見渡すばかりの湖と
青い空にスーッと深呼吸なんてしてみる。


なんとなく仕事で肩に力が入っていた私は
せめてもの癒しをと釣りにやって来た。