おもむろにポケットを探り
タバコを取り出して火をつけた。


タバコ吸うんだ。


初めて見る斜めからの彼の横顔は
冷たい風によって前髪が退けられしっかりと見える。


タバコを吸う男性は苦手。匂いも苦手。


でもなんでだろう。


彼の姿は絵になってかっこいい。


状況に似合わずそんなことを考える。


その瞬間。


一息吐いた彼がこちらを振り返ってしまった。




まるで時間が止まったよう。



何も聞こえない。



ただ響くのは自分の鼓動の音だけ。



お互い目を合わせたまま時間だけが経過した。







「..................ってぇ.............」





突然


彼はその場にしゃがみ込んでしまった。