幸福論

「声、かけんで良かったん?」




一応仕事仲間として
挨拶ぐらいはするやろうと思ってたけど





「ええねん。邪魔したらあかんし。」





声もかけずに斗は歩き始めた。
それに付いて行く俺も後ろを振り返ってみたけど
やっぱり彼女は上を見上げてる。





「邪魔って?」

「んー?これ、見て。」





斗はさっき撮ったであろう写メを見せてきた。


そこには上を見上げる彼女。
俺がさっき見た光景と同じや。


”これ、まこちゃん何見てると思う?”
そう言われて目線の先をアップする。






「..........あ、俺らやん。」

「そ!」





満足そうに斗は携帯をポケットにしまう。


彼女の目線の先、見上げる先には
俺らのでっかいポスターがあった。