幸福論

「.....落ち着いた?」

「ん、ごめん.......ッ」




打ち合わせどころじゃない。
涙が枯れる頃にはすっかり日も暮れ
強い風が窓ガラスに当たっている。


遠慮がちに私の顔を覗き込みながら
優しく乗せた手でポンポンと一定のリズムで
頭を撫でてくれる。


来週にオープニングセレモニーを控えた私たちは
今日がその最後の打ち合わせだった。


せっかく忙しい中、時間を割いて来てくれたのに
今更ながら罪悪感が押し寄せる。


何も聞かず
ずっとそばにいてくれた彼に向き合う。


予想以上に近い距離。
困ったように眉を下げる彼の目を見た。






「........ごめんね、急に泣いて。」

「....別にええよ。」




優しすぎるその声に
また涙が出そうになる。