幸福論

「お!おつかれーい。
どうしたんマフラーもせんと。」




どうやらマフラーもせずに来たみたい。
寒さなんて忘れてたんだ。


目の前に立ち上がる小森くんを
見た瞬間


止めどない涙が溢れ出した。





「...........ふっ....くっ.........ひくっ........」





一瞬驚いた顔をした小森くんだけど
すぐに表情を戻し


入り口に立つ私の元に来て
優しく手を引いて中に入れた。


彼の手によって閉められた個室の中は
私の押し殺した声だけが響く。


いつもは向かい合って座るのに
今日はすぐ隣に感じる。


さっきから一言も話さない彼に
一向に泣き止まない私。


でも、すぐ近くにいる小森くんは
体はこちらを向き
大きな手は私の頭に乗っていた。