幸福論

目を合わせないということは
話題を膨らませたくないということ。



分かりやすく目を泳がす志乃に
続けることをやめた。




帰り道、
駅まで歩く私達の間に会話はない。


隣を見れば俯く志乃。


そんなにさっきの質問がダメだったかなと考える。


冷たい風が強く吹き
思わず顔を背けた。


目線の先でしっかりと目が合う感覚。
そこには名前が出ずとも
すぐに私の頭の中に浮かぶ彼。


ポスターの中の紺さんが
こっちを見ていた。


ふと思い出すのは昨日の夜のこと。


あんなに私を過去の思い出だけで泣かせたのに
写真の中の紺さんは笑ってる。


もう直接見れることのない彼の笑顔に
少しだけ鼻の奥が痛くなる。