幸福論

「なーんか。
すっかりスーパースターだよね。」

「それ私も小森くんに同じこと言ったよ。」

「あ、ほんと?
なんか信じられないもんね。
こんな有名人になっちゃってさ。」

「まぁね。」

「...........もう見てもなんとも思わない?」




上を見上げたまま志乃は言う。


突然振られた話に驚き
何も答えられない。


それはここ何年、私達の間で封印されてた話題。


避けるように口にしてこなかった。


それでも名前も出てないのに誰のことか
分かる時点で答えは出てるようなもの。


黙り込む私に
志乃は”ごめん”と一言言って
カフェへと歩き出した。




「そういえばさ、プロモート始めに
まこが考えてくれたコーデ
めちゃくちゃモデルに似合ってたよ。」




何事もないように話す志乃。


その横を私も気にしないように歩く。