これは仕事。


いつからだろう。
そう思い込むことで
自分を安心させるようになったのは。






志乃にそう耳打ちされてからの私は
仕事モードで彼らと接することに専念した。



それでももう限界。
そう思った私は志乃の服の袖をキュッと握った。


これが2人で決めた合図。
なんの違和感も残さずに志乃は断りを入れてくれた。







「はぁ、ごめんね、志乃。」

「ん〜?全然よ。今日は長い方だったよ。」




ブースを後にした私達は
さっき購入した商品を受け取りに来た。


発注待ちの物もあったが
運よく全て持ち帰ることができそう。



華金だということもあり、
志乃にこの後飲みに行こうと誘われたが
思い出したのが弟からのメール。
泣く泣く断った。


23時には絶対に帰る。
これは私の中で決めていること。


どんなに楽しい時間を過ごしていても
これだけは守ると決めていた。



だから今日も
再度笹上さんたちに挨拶してから
一足先に会場を出る。