静かな場所に腰を下ろして
ぼーっと糸を垂らした。


誰も来るはずなんてないんやで?


だってこんな場所俺でも初めて来たし
釣れるかも分からんもん。


何も考えんくていい場所として
ここを選んだだけなんやから。


そしたらな、
こんな湖の端っこやのに
男の子がひとりで釣りにきてん。


声かけてみれば
たまには違う場所にって
その子も初めて来たらしい。


関西弁を話す人懐っこいその子とは
すぐに仲良くなった。


話を聞いてればバス釣りが大好きで。
ロクマルを釣り上げた話をすれば
目をキラキラさせて聞いてくれて。


ケラケラ笑うその顔は
なんとなく、どっか懐かしい感じがした。


胸に何かが引っかかる感じもした。


笑った時にできるえくぼも
クシャってなる目元も


すっごい可愛らしかった。