幸福論

「...え、小森くんもこっちだっけ。」

「あ、うん、あー、いつもはちゃうねん...けど、
今日はそう、というか......」

「何それ」





落ち着け俺。
今は紺ちゃんのことを考えてる場合じゃない。






「時間遅いし送っていくわ。」

「え、別にいいよ。反対でしょ。」

「ええねん。俺も今日はこっちやねん。」

「だからどゆこと。」






断る彼女を押し切って同じ電車に乗った。




俺が今日、計画してること。
それは、彼女に気持ちを伝えるということ。
それが彼女を送る理由。


こんなんめちゃくちゃ重大な計画やん。
彼女の負担にならんよう
大きい仕事が終わるこのパーティー終わりで


何日も前から言葉考えて
龍にだって相談して


このタイミングで2人に合図して
このタイミングで店を出て、って。


めちゃくちゃ気合い入れて来たのに。