泣いていたせいで前を向いてなかった。

ドンッ

「いたっ…」
「あっすみません」

顔もあげずに一言謝り通り過ぎようとした。
顔を見られたくなかったから…

「おい。お前1年だろ。
先輩にぶつかっといてそれはなくね?」

ビクッ。
ぶつかったのは先輩だったらしい。
涙を拭い顔を上げてから深々と頭を下げた

「ほんとにすみませんでしたっ」
「え?うそ。泣かせちゃった?
ごめんね??」

あまりの豹変ように驚きつつも
「先輩のせいではないので大丈夫です
失礼しました…」
と離れようとした時。
グイッ…
「えっ。あの先輩?!」
手を掴まれて身動きが取れなくなってしまった。
「んじゃ誰?誰が泣かせたの?」
「……。」

見ず知らずの先輩にはさすがに言えなかった
私は口を閉じ下を向いた

「とりあえず図書室一緒にいこ?」

こくりと頷き。先輩について行った。
断ろうと思ったけど。先輩だから…