教室に着けば、すでに楓ちゃんと津田くんは来ていて、珍しそうな顔で私を見つめてきた。
「美紅がいつもより遅いから休みだと思ったよ」
「遅いなんて珍しいな」
「そ、そうかな……確かに家出るの遅かったかも」
本当は車の中で抱きしめられていた、なんて言えるはずもなく。
「寝坊でもしたのか?」
何気ない津田くんの質問に、私は素直に答えようとしたその時。
『美紅、わかった?
男を簡単に信じたらダメだからね?』
拓人の言葉を思い出した。
男の人で信じられるのは、拓人だけ。
「……どうした?様子、変だけど」
意地悪だけど優しい、目の前の津田くんも……信じてはいけないと拓人は言う。
男はわざと優しくして、気を許させようとしている。
つまり、津田くんもってことだよね……?



