甘い執事の思うがまま。



「じゃあ、拓人は友達と遊びたいとか思わないの?」

「思わないよ。遊んだら美紅との時間が減る。
それに普段、友達とは学校で一緒なわけだし。

それよりも今日、一緒に美紅とお弁当食べる日だってことのほうが何万倍も嬉しくて楽しみだな」


そう言って、本当に嬉しそうに笑うから、私もつられて笑った。

「うん、私も楽しみなの」


拓人と一緒にお昼を過ごせる。

学校では離れ離れだけど、唯一一緒に過ごせる時間だった。


「じゃあお昼休み、迎えに行くから」
「いいよ、毎回。私が行く!」

「かわいいお嬢様をひとりで歩かせるのは危ないから俺が行く。わかった?」


お、お嬢様って……学校で言われると恥ずかしい。


「わかった」

結局拓人の言う通りにしようと思い、頷いた私。

今日はふたりでお昼を過ごせる日で、楽しみだなと思いながら、私たちはそれぞれの教室へと向かった。