甘い執事の思うがまま。







「美紅、わかった?
男を簡単に信じたらダメだからね?」


車から降りる前に、制服姿の拓人が真剣に私を見つめてきた。


「うん、気をつけるね」
「津田って男もだよ?」

「心配しなくても大丈夫だよ。
なるべく関わらないようにする」


すぐには無理だろうけれど、少しずつ関わりを減らすようにすればいい。



「やっぱり美紅はいい子。
こんないい子の彼氏になれて、幸せだな」


拓人は私の言葉を聞いて満足したように笑い、私を優しく引き寄せて抱きしめる。


「……っ、拓人?」

ピタリとくっつく密着状態に慣れなくて、あまり落ち着かない。

昨日は泣いてばかりで、そんなことを考える余裕はなかったのだけれど……今は違う。


ただ、拓人から抱きしめられている。