確かに昨日の一件があってから、私は拓人をより信頼できるようになった。

唯一、心を許せる相手かもしれない。


あんな風に忠誠を誓うだなんて、拓人もきっと、相当な覚悟を要したはずだ。



そんな拓人だからこそ、心から信頼の置ける存在になり、彼との距離が近づいた気がした。


「お嬢様……?」

「拓人、ありがとう。
拓人は私にとって唯一信頼できる存在だよ」


今ならこうやって、口にすることができた。
心からそう思えるから。


今までは拓人のことを、頼れる優しい執事としか見てなかったんだ。


「…………」

だけど拓人はなぜか黙ってしまうから、不安になる私。


「あ、あの……拓人」
「申し訳ございません」

「えっ……」
「嬉しさのあまり、笑みがこぼれてしまいます」


口元を片手で隠し、少し照れた様子の拓人。
初めて見る表情に、ドキッとしてしまう。