次の日の朝。
「お嬢様、朝でございます」
拓人の声で目が覚める。
ゆっくり目を開けると、拓人の穏やかな笑みが視界に映った。
「目のほう、腫れてなくて良かったです」
その言葉で昨日のことを思い出す。
あんなに泣いたの、私だって久しぶりだ、
子供みたいに泣いてしまったから、少し恥ずかしいけれど。
泣き止んだあと、拓人はやっぱり私の心配をしてくれて。
目を冷やしたおかげで、痛むことはなく、今日も腫れていない様子だった。
「き、昨日は、ごめんね」
きっと、大泣きした私に困ったことだろう。
思わず誤ると、拓人はまた優しく笑った。
「謝らないでください。私自身、お嬢様の知らない部分に触れられた気がして嬉しかったです」
私の、知らない部分……。