「お嬢様を守り抜くのが、私の仕事です。
お嬢様のためなら、私はどのようなことでも致します」


強い瞳は揺らがない。
やっぱり拓人は、真面目で一生懸命な人。



「……ありがとう、拓人。
拓人が私の執事で良かった」

「私も、お嬢様のような素敵なお方の執事になれて光栄です」


私なんか全然なのに。
素敵だなんて。



「私は素敵なんかじゃないよ。
昔からほったらかしで、ひとりぼっち」

習い事はさせるけれど、成果を見てくれることもない。


そもそも榊原家の娘として、扱われているのかも信じがたい。


「……私が、もうお嬢様をひとりにはさせません。
ずっとお側にいさせてください」

「拓人……」


真っ直ぐで真剣な瞳。

代わりに私の視界が歪んで……気づけば頬に涙が伝っていた。