「本当に?
たまには拓人、部屋に戻って休憩しても……」
「ですが、それではお嬢様がひとりになってしまいます」
「あっ……」
本当だ。
すっかり忘れていた。
拓人が部屋に戻れば、確かに私がひとりになる。
それは寂しいけれど。
「我慢、する……少しくらい平気。
毎日ひとりだった時に比べてそれくらい…」
「お嬢様。私はこのくらい、慣れておりますので平気です」
「本当……?」
「はい」
「なら、行かないでほしい」
「もちろんでございます」
拓人が優しく笑う。
私から部屋に戻ってもいいって言ったくせに、結局呼び止めてしまうくらいのわがままな人間。
そんな自分が少し嫌になっていたら、突然拓人が横になる私のそばまでやってきた。



