「どうして?」
「……美紅ちゃん?」
突然私が立ち止まったから、たっくんは驚いたように見つめてきて。
「私のそばにいられないって、ほんと?」
怖かった。
たっくんがいなくなるだなんて考えられない。
心から安らげる存在だったというのに。
「美紅ちゃん、俺は6年生だから」
「嫌だ!そんなの知らないもん」
嘘、本当は知っている。
明日卒業式があることも、4年生はそれに参加できないってことも。
つまり、会えないのだ。
たっくんとはもう、明日以降。
「お願い、いなくならないで……」
さっきは怪我で泣き、今はたっくんがいなくなるのが嫌で泣く。
たっくんにしたら、相当なわがまま女だったと思う。



