「お嬢様、ゆっくりしてくださいと言ったはずですが……」
「ゆっくりするのは、拓人がいないとできない」
「私がいないと……ですか?」
「ひとりだと寂しいから、気を紛らわせたくなるの」
ひとりでゆっくり、だなんて時間が恐ろしいほど長く感じる。
そのため、何かしないと気が済まないのだ。
「それは大変失礼致しました。
お嬢様、今は私がお側におりますので、ぜひごゆっくりしてください」
拓人は私のそばまで来て、そう言ってくれた。
「うん。でも、あと二問で終わりなの。
だからこれ終わってからにするね」
「本当に真面目なのですね、お嬢様は」
「私より真面目なのは拓人だよ」
本当にしっかりしているし、心から任せられる。



