「お嬢様、ケーキをご用意しておりますが、いかがでしょうか」
「ケーキ……!?」
だけど、その違和感はケーキというワードによってあっという間になくなった。
「はい。お嬢様のお好きなチョコのケーキでございます」
「た、食べたい……!」
すぐ反応してしまう私に、拓人は笑いかけ、机の上にケーキを置いてくれた。
「勉強、しておられるのですね」
「今日出された宿題をやってるだけだよ」
「それでも、ちゃんとやるのはすごいことです」
やっぱり拓人は些細なことでもすぐに褒めてくれる。
まだまだ慣れないこともあるのだけど、褒められると嬉しいのに変わりはない。
「では、ケーキを食べ終えたら、宿題の続きをしてから勉強をしましょうか」
「うん!」
勉強、とは拓人が私に教えてくれることだ。
それも、今よりずっと先の範囲を。
授業についていけるよう、予習の意味も兼ねて。



