「うん、苦手だよ……」
「じゃあどうして、朝に会った男は平気なの?
触れられてたし」
触れられていた……のは、きっと拗ねた私を落ち着かせるための行動だったのだろう。
「津田くんはね、意地悪だけど優しい人なの。
私が教科書忘れた時に見せてくれたり、何かと気にかけてくれるっていうか」
「……だから、心を許した?」
「うん。いつのまにか自然と話す関係になって…」
「もういいよ、教えてくれてありがとう」
拓人が笑う。
だけど、その笑顔がいつもと違うように見えたのは気のせい?
なんか……作り笑いのようにも見える。
「拓人……?」
「どうしたの?」
「う、ううん……なんでもない」
私が拓人の名前を呼べば、今度は優しく笑いかけてくれて。
やっぱり気のせいかなって思った。



