それにしても……。
「裏が、ありそう?」
「なんか、普通に思っただけ。
どちらかといえば、ああいう優しいタイプの人間って怒ったらやばいみたいだしな。
気をつけろよ?」
「う、うん……でも、拓人に怒られたことないよ?」
まだ2ヶ月しか共にしていないけれど、不機嫌な表情をした拓人すら見たことがない。
「なら別に気にする必要ねぇか」
「とか言いながら、本当は先輩の価値下げたいだけでしょ?」
「お前はさっきからなんなんだよ」
「津田が美紅のこと好きかなって予想してるだけ」
か、楓ちゃんはなんてことを…!
「つ、津田くんが私のことを好きだなんてありえないよ!」
さすがのこれには慌てて間に入り、楓ちゃんを止める。
「いやー、男はわからないからねぇ」
「お前は何様なんだよさっきから」
「ただの傍観者で」
「面倒くせぇ」
また、ため息をつく津田くん。
なぜだか楓ちゃんは、津田くんが私のことを好きって思っているみたいだったけれど、そんなのありえない。
そもそも、かっこいい津田くんと平均的な私は釣り合わないし……なんて思いながら、私たちは教室へと入った。



