「もう、今日という今日は我慢の限界だ。
大丈夫、俺に任せて」


真剣な声に、怖いくらいの冷たい表情で男の子を睨むたっくん。


男の子はその威圧にやられたらしく、すぐさま4年の教室に向けて逃げるように走っていった。



「たっくん、すごいね……!」

何か言うわけでもなく、暴力を振るうわけでもない。

それなのに、男の子は去ってしまったのだ。


「そんなことないよ。
それに、これだけじゃ済まさない」

「えっ?」

「もう、これから俺は美紅ちゃんのそばにいてやれないから……ちゃんとあの男はどうにかするね」


“あの男”と乱暴な呼び方をするたっくんは、きっと相当怒っていたのだと思う。

私のために。


だけど私は、それ以上にその前の言葉が気になって仕方がなかった。