……って、そうじゃない!
「どうして拓人がここに!?」
そう声を上げると、拓人は優しい笑顔を浮かべながら私に近づき、目の前で止まった。
「はい、これお弁当。
渡すの忘れてたから」
「……っ!?」
そう言って、拓人は自分の鞄からお弁当の入った小さなバックを渡してきて。
また騒がしくなる廊下。
今の言葉を聞いていた人は少なくない。
ど、どうして拓人は今ここで渡す……!?
普通に考えて今の言葉は誤解を生む。
だって、拓人が私にお弁当を渡す時点で怪しまれるだろう。
どうして私のお弁当を拓人が持っているんだって、疑問に思うはず。
もちろんそれは、一緒に住んでいるからなのだけど……バレるわけにはいかない。



