それでも黙っていたら、私の頭の上に津田くんの手が置かれた。
「そんなふくれっ面してると、彼氏に引かれるぞ?」
「……ま、また津田くんはそうやって馬鹿にする…」
「ほら、津田のせいで美紅が本気で拗ねた」
「あー、もう面倒くせぇな。悪かったって」
津田くんはため息をつきながらも、もう一度私に対して謝ってきて。
さらには何回か頭をぽんぽんされた。
さすがの私もやりすぎたかなって思ったから、『大丈夫だよ』って言おうとしたのだけど。
「……美紅」
聞きなれた声が耳に届いたから、慌てて振り返った。
するとそこには、1年の廊下を歩く拓人の姿があって。
みんな拓人を見て、ざわざわ騒ぎ始めた。
注目の的の拓人。
やっぱりすごいなぁって思った。



