「何この子、かわいすぎ!」
「えっ……」
「私も美紅が友達で幸せー」
そう言って楓ちゃんは笑い、私にぎゅっと一瞬だけハグしてきた。
なんだか恥ずかしいけれど、こんなこと今までになかったから嬉しい気持ちのほうが大きかった。
「お前ら朝から何してんだよ」
ふたりで笑い合っていると、また声が降ってきて。
見上げると、そこには津田 朔弥(つだ さくや)くんが呆れた目で立っていた。
「津田くん、おはよう」
「はよ」
津田くんは私と席が隣の男の子。
少し無気力っぽい津田くんだけど、何だかんだ優しい人だ。
一度、教科書を忘れるというヘマをしてしまった時、何も言わずに机をくっつけて見せてくれたり。



