「いいなぁ、あんなイケメンさんと付き合っているなんて。
ここの高校で知らない人はいないってくらい、人気者みたいだし」
「そ、そうだね」
私もびっくりした。
最初、拓人の人気を知った時。
拓人の周りにはいつも人がいるし、女の子の多くが彼を見ていて騒いでいた。
「いいなぁ、幼なじみとの恋、なんて」
その言葉に一瞬ギクッとしてしまったけれど、慌てて平静を装う。
実は、私と拓人は“恋人設定”以前に、“幼なじみ設定”だったのだ。
家が近所で幼なじみ、そこから恋人関係に発展した。
そのため毎朝一緒に登校しているし、帰る時も同じ。
そうすれば、確かに誰にも怪しまれることなく今日まで過ごすことができた。



