「……血が出てる。痛いよね」
「うん、痛い……痛いよたっくん」
涙が止まらないでいると、たっくんは涙を拭ってくれた。
「泣かないで、美紅ちゃん」
「……うう…」
頑張って泣かないように我慢するけれど、こらえきれない。
「ちゃんと手当て、しよっか。
消毒しないといけないし、保健室まで歩ける?」
「うん……歩く」
「いい子だね、美紅ちゃんは」
たっくんは私のことを“いい子”だと言って褒めてくれる。
さらには頭も撫でられ、それがすごく落ち着き、安心する私。
それからたっくんの付き添いのもと、保健室に向かう途中に筆箱を取られた男の子が私の向かい側から歩いてきて。
思わず顔が強張っていると、たっくんが私の肩を抱き寄せてくれた。