「そんなこと、するはずないよ。
こんなかわいい子を放置するなんてありえない」
か、かわいい……かわいいと言われ、思わず顔が熱くなる。
あまり言われ慣れない言葉。
今の高校の友達にも、よく『かわいい』と言われるけれど、そんなわけがない。
私なんかより、かわいくて綺麗な子のほうが多い。
「俺は何があっても美紅から離れないよ」
「……本当?」
私のそばに、ずっといてくれるの?
もし、拓人がいなくなって、また今までの生活に戻ったら……って考えただけでも怖い。
ひとりぼっちはもう寂しい。
「本当だよ。嘘なんかつかない」
「でもね、私って寂しがり屋で……面倒くさくなっちゃうかもしれないよ?」
「むしろ、寂しがり屋のほうが俺は嬉しいよ」
「嬉しい、の?」
「うん、嬉しい。美紅に寂しい思いさせないようにするからね」
拓人はそう言って、私の手をそっと握る。
優しい手つき。
やっぱり専属執事が拓人でよかったって、心から思えた。



