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まだ完全に状況が把握できていない中、智さんと彼のお父さんが少し顔色を悪くしたまま部屋を後にした。
一体どういうこと?
拓人は本当に神崎グループのご子息なの?
理解力に乏しい頭でも、それが何を指すのかくらいわかる。
拓人が神崎グループのご子息だったとすれば、私は今まで彼に無礼な態度を───
「美紅」
「……っ」
どうしよう、もし拓人が怒っていたら。
今までの態度に怒り、私たち家族は崩壊の危機に晒されるかもしれない。
私も頭を下げないと。
そう思い床に頭をつけようとしたら、その前に拓人に抱きしめられた。
「こら、何しようとしてるの美紅」
「だ、だ、だって…私」
「美紅は何もしてない。むしろ俺が騙してたんだ、謝るのは俺のほう」
そう言って、そっと頭を撫でられる。



