「……っ、嫌!」
嫌だ、無理だこんなの。
拓人がいい。
私の全部を触れるのは、拓人じゃないと嫌だ。
咄嗟に出てしまった拒否の言葉。
もう引き返せない。
どうせなら拓人と逃げ出したい。
「拓人じゃないとダメなの…拓人、やだよ助けてよ……!」
半泣きになりながら必死に訴える。
お願い、拓人。
どうかこの声が拓人に届いて。
目をぎゅっと閉じて涙が頬を伝う中、智さんの表情なんて一切見ることができない。
「てめぇ、今なんて言ったかわかってんのか?」
ただ怒っているのはわかる。
半ギレ状態の智さんの声を聞き、もう後には引けないと思ったその時───
「……ふはっ」
今度は誰かの……いや、確かに拓人の笑い声が聞こえてきた。



