「お、お前ら何してんだ…」
「これは智(さとる)様、お待ちしておりました」
「おい、はぐらかすな」
「私はお嬢様の前髪を整えていただけでございます。角度からそう見えたのでしょう」
拓人は焦る私とは違い、冷静に言葉を返す。
そして頭を下げて部屋を出ようとしたけれど───
「……待て」
私の婚約者と言われている智さんが拓人を呼び止めた。
派手な髪色に派手なピアス。
さらには鋭い目つきで拓人を睨み、圧がすごい。
「お前、少しの間ここにいろ」
「……それはどうしてでしょうか。
私は邪魔なはずです」
「俺が今日からこの女の婚約者だって、お前らにわからせるためだよ」
ニヤッと悪そうに笑い、私に近づく智さん。
明らかに不機嫌である。



