執事なんていう肩書きを忘れ、今は欲のままに私の唇を狙う───
「ん、たく…」
何度も繰り返されるキス。
一度だけだと言っていたのに。
このキスのせいで互いの理性が欠けていく。
このまま溺れたい。
このキスに身を預けて───
目を閉じ、受け入れ体勢に入った時。
最悪の事態が起こってしまった。
ガチャッと音を立て、何者かによってドアが開かれてしまったのだ。
「榊原美紅はこの部屋で間違いな……い…」
「……っ!?」
拓人も私も反応に遅れながらも、慌てて離れたけれど。
ノックもせずに開けられたドアの向こう側には、気の強そうな金髪姿の男がひとり、目を見張って立っていた。
ピアスもいたるところに開けられており、本当に一流企業のご子息だろうかと思うほどである。



