「暗い表情はしないでください。
大丈夫です、お嬢様は素敵な女性になられました」

「これから、私と拓人の関係はどうなる…?」
「本来の主従関係に戻ります」

「じゃあ毎日のキスも、あの日のことも全部…もうこれからは何もないの?」

「お嬢様」


私がいつまでも引きずっているからだろう。
拓人が少し語気を強めて私の名前を呼んだ。

思わずビクッと跳ねる肩。


「元々私たちはあってはならない関係だったのです。今回のをきっかけに、もう終わりましょう。

このままだとお嬢様も私も、幸せにはなれません」


「……っ」


全部、拓人の言う通りだ。
図星のため何も言い返せなくなる。

拓人は正しい判断をしていると言うのに、どうして私はこんなにもウジウジしたままなんだろう。