「すぐ、体に異変があったら言うんだよ?」
敬語をやめても、拓人の話し方は柔らかく、そして優しさで溢れている。
元々拓人は、どこまでも優しい人柄なのだ。
「うん、ちゃんと言うね。
拓人は大丈夫なの?」
「もちろんだよ。美紅は俺の心配なんて、しなくていいからね」
当たり前だけど、学校での拓人は自分のことを“俺”という。
それがなんだか新鮮で嬉しい。
家では“私”だから、余計に新鮮なのだ。
「ううん、するよ。
だって拓人は言わなさそうだもん」
執事として、隠しきっちゃいそうだ。
「それは美紅のほうだよ。
これから俺には、思ってること全部言うこと」
「拓人には全部言ってるよ」
逆にうざがられないか心配だ。



