「美紅、わかって。
俺たちは結ばれない運命にあるってこと」
「……っ」
「美紅はこれから決まる婚約者と幸せになるんだよ。
大丈夫、きっと美紅を幸せにしてくれる」
首を何度も横に振る。
どうせなら拓人の手で幸せにして欲しい。
こんなにも好きになってしまったのだ。
今更他の男の人とだなんて、考えられない。
優しく触れられるのも、抱きしめられるのも。
キスされるのだって全部拓人がいい。
「嫌だよ拓人…」
せっかくこうして想いが通じ合えたというのに。
拓人がたっくんだとわかったのに。
これから先、私たちを待ち受けるのは別れの選択だなんて。
「今の間にたくさん、美紅を独り占めさせて?」
迷わず頷くけれど、足りない。
いつか終わりがあるのだと思えば、拓人にされるキスも切なく思えた。



