「ありがとう美紅」
「……っ」
「好きって言葉、嬉しかった」
それって…と、どんどん期待が膨らんでいく。
「拓人、あのね…」
「でもごめんね」
「……え」
“ずっと拓人のそばにいたい”
また本音を口にしようとしたら、その前に拓人に謝られてしまう。
その瞬間、期待が一気に不安へと変わり。
「たく、と…」
「あの頃は美紅のそばにいるんだって心に決めてた。でも俺と美紅は立場が違う。
小さい頃の言葉は単なる夢に過ぎなかったんだ」
辛そうに顔を歪める拓人。
その瞳は潤んでいるようにも思える。
「どうして…?
どうしてそんなこと…」
「美紅は令嬢だよ。
そんな偉い立場の人間が、俺みたいな一般人と…」
「私も拓人も同じ人間だもん!立場なんて知らない!だからそんなこと言わないで…」
せっかくの嬉しい気持ちが、また苦しさに変わって。
目から涙が溢れる。



