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「拓人…!」
「美紅、ごめんね遅くなって」
四限目を終えると私は拓人が迎えに来るのを教室で待っていた。
移動教室だったようで、私が行くと言ったのだけれどそれはダメだと言われてしまった。
この間の件もあってか、さらに心配性になってしまったようだ。
けれど私のことを考えてくれていると思っただけでにやけてしまう。
「嬉しそうに笑ってるけど何かあった?」
「…ううん、なんでもない」
拓人に指摘されるほどだったらしい。
けれど言えるはずがない。
拓人に心配をかけさせているのだから。
それなのに嬉しいだなんて、失礼である。
「拓人、今日はどこで食べる?」
「今日はね、実はいいお知らせがあって」
「いいお知らせ?」
「そう。これ見て」
そう言って拓人から見せられたのは教室の鍵で。
思わず首を傾げてしまう。



