「でもこいつ、男にだけ怯えてねぇか?」
「あー、言われてみれば…女子に対しては普通だね、美紅」
鋭いのは楓ちゃんだけではなかった。
津田くんも鋭く、触れて欲しくない話に簡単に触れられてしまう。
「そ、そんなことは決して……あっ、次の授業終わったらお昼だっ…」
今日は拓人とふたりでご飯を食べる日である。
わざと話を逸らしてみたものの、余計ふたりに怪しまれてしまう。
「さてと、美紅ちゃん?」
「……っ」
「話を聞かせてもらおうかな」
満面の笑みを浮かべる楓ちゃん。
わざとらしく“美紅ちゃん”と呼ばれ、もう逃げられないのだと悟った。
「あ、う……実は…」
結局私は本当のことをふたりに話してしまった。