ご飯を食べ終えると、今度は身支度を始める。
「お嬢様は髪が綺麗ですね」
少し茶色味のあるセミロングの私の髪に、拓人がくしを通す。
学校の友達にも、綺麗な髪だって褒められたことはあるけれど、あまり自覚はない。
「そうかなぁ。もっと拓人みたいに黒髪がいい」
「ですがお嬢様は、元々茶色味のある髪色をしておられますよね。周りからすればそちらも羨ましいかと」
「だけど染めたって勘違いされちゃうの」
中学の時とか、一度『染めたでしょ?』と友達に厳しく言われたことがある。
中学は校則が厳しかったから、そんなことありえないのに。
「周りがそう思おうと、私はわかっておりますよ。
お嬢様はそんなこと、決して致しません」
やっぱり拓人は私の味方をしてくれる。
本当に心強い。



