甘い執事の思うがまま。







ベッドの上に腰をおろす。

大きい部屋にポツンとひとりしかいない私は、途端に泣きそうになってしまった。


けれど涙を必死に堪え、着替えが終わるなり拓人が来るのを待っていた。



それから少ししてドアがノックされる。

「……っ、拓人!」


パッと顔を上げてドアに視線を向ければ、外から拓人が入って来た。


「お嬢様」

なぜだろう。


拓人を見るなり、先ほどのようにぎゅっと抱きしめてほしいと思ってしまうのは。


「夕飯の支度が整っております」

けれどもう目の前の拓人はいつも通りで。
先ほどの優しさがまるで嘘のよう。


やっぱり怒っているのだろうか。

自分が招いたことなのに、私がこんなにも泣いているから。