甘い執事の思うがまま。




「美紅、怖かったよね」

ぎゅっと私を包み込んでくれた拓人に身を預け、涙を頑張って堪えようとする。


けれど我慢なんてできずに涙が溢れてしまうばかり。



「美紅、とりあえず帰ろう?
迎えも来てるから」

「……うん…」


足がおぼつかない中、拓人に支えられて車に乗り込む。


「泣かないで、美紅。
もう大丈夫だから」


ああ、バカだなって自分でも思う。
拓人はこれを心配していたのだ。


それなのに私は楓ちゃんと遊びたい一心で外に出て、結果痛い目にあいそうになった。

自業自得だというのに。


拓人は私を責めずに優しくしてくれるから、余計に辛くなる。


「ほら、遊んだ時の楽しさを思い出して」

さらに気を遣ってくれた拓人は私を抱きしめ、家に着くまでの間何度も頭を撫でてくれていた。