甘い執事の思うがまま。




パッと振り向けば、まだ制服姿の拓人が焦った様子で私の元へと駆け寄ってきて。


「たく、と…」

拓人は私のすぐそばで立ち止まるなり、肩に手をまわしてきた。


「俺の恋人に何か用ですか?」

なぜだろう。
見た目は優しくて、まったく怖くないというのに。

今の拓人からは言葉が出ないほどの圧を感じた。


「っ、か、彼氏持ちかよ…!」
「つまんねぇな、行こうぜ」


そんな拓人の圧にやられたのか、すんなりと私から離れた男の人ふたりはすぐどこかへ行ってしまった。

それも少し早歩きで、まるで拓人から急いで逃げるように。


「たく…」

拓人の名前をもう一度呼ぼうとしたけれど、自然と足から力が抜けて倒れそうになる私。


そんな私を拓人は抱きとめてくれた。