甘い執事の思うがまま。




───怖い。


怖くて声が出ない。
体も強張ってしまう。


「かわいいキミ、今から俺たちと遊ぼうか」
「ほら、ここだと目立つから移動しよう」

「やめっ…」


情けない。

相手の力にまったく敵わず、声も掠れてうまく出ない私は相手の思い通りだった。


全身が恐怖で震える中、無理矢理連れていかれる。


怖い、怖い。
どうしてこうなってしまったの?

私がわがまま言ったから?


何が何だかわからなくなり、恐怖でじわりと目に涙が浮かぶ。

「……っ、拓人…」


思わず拓人の名前を呟き、助けを求めた瞬間。



「美紅!」

まるでそのタイミングを狙っていたかのように、拓人の声がすぐ近くで聞こえてきた。