甘い執事の思うがまま。




先に楓ちゃんが帰ったのを確認してから、拓人に指定された近くの駐車場へ向かおうと足を進めたその時───


「あーっ、かわいい子みっけ」

わざとらしい声が背後から聞こえてきて、思わず止めてしまう足。


なんだか嫌な予感がしたため、もう一度足を進めようとしたけれど。


「なんで無視するの?
キミのことを言ってるんだからさ」

「……きゃっ」


今度は腕を掴まれ、強引に振り向かされてしまう。


「ほら見ろよ、やっぱりかわいい子じゃん」
「やっべぇ気弱そうだし当たりじゃん」

視界に映ったのは、明らかに悪そうな男の人ふたり。


ひとりは金髪にピアスが至る所にあいており、もうひとりは長めの髪にパーマを当ててアクセサリーがジャラジャラとついていた。