「お母さんがスイーツ作るの好きで…」
嘘をつくのには罪悪感があったけれど、ここはグッと我慢する。
「そっかぁ、でも食べたいとは思わないの?」
「思わなかったなぁ…」
“食べたい”より“羨ましい”と思っていた。
放課後に制服を着た女の子たちが笑い合いながらクレープやアイスを食べる、そんな生活に憧れていたのだ。
「でも今楓ちゃんとこうしてクレープ食べることができて嬉しい!」
「もー、かわいいこと言う」
かわいいことって言われても、これが本心なのである。
クレープを全部食べきるのは結構きつかったけれど、楓ちゃんと食べるそれは言葉にならないくらい美味しかった。



